名古屋新栄町駅前、錦通と国道153号線の交差点の角地に建つ複合コミュニティプレイスのカフェ施設である。名古屋の老舗企業が新規事業として、地元貢献のために地域の人に愛されるカフェを中心としたランドマークとなるコミュニティスペースを作りたいという思いからはじまった。敷地両側には高いマンションが建つ都会のど真ん中、大通り沿いの容積率の高い密集地区の中に、ひらりと空から舞い降りてきたような軽やかな屋根を持つ、中庭を包み込むような建築を考えた。イベントスペースの地下1層、地上3層がカフェとなっている。中央の庭の下に地下のイベントスペースがあり、庭の端がめくれ上がることで光を届けている。大屋根の下の3層にまたがる吹き抜けのカフェ空間。1Fはコーヒーカウンター、厨房、焙煎所を中心とした場所で、一部掘り込まれ、目線に中央の庭を臨む客席が配置されている。2Fは客席で目の前には中庭のオリーブ林が広がり、都会の喧騒から程よい距離を作り出している。3Fは大きな屋根に包まれたバー空間で眼下に店内全体、中庭、さらに大通りの賑わいが垣間見える。
大屋根は多治見で焼いたオリジナルのタイルによって空を写すような青のグラデーションが特徴となっている。溝型のボーダータイルに釉薬の厚みによって色の変化を作り出している。雨の日にはこの溝に沿って雨が庭へと流れ落ちる。都会の中に生まれた余白、周囲の喧騒と切り離された時間を提供している。