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夫婦2人、子供3人の5人家族が住む住宅である。傾斜地を造成した住宅街地の中に建つ。敷地は前面道路から平均3m上がっている。施主の要望は周囲からの視線を遮り、内側に囲まれた庭を持つことであった。
まず、ほぼ正方形の地型に合わせて10m角の四角を描いた。そしてそれを対角に2本線を引くと4つの直角二等辺三角形ができる。その一角を庭とした。2階は四角形を半分に割った長方形の一方にスラブを設けた。すると、1階との隙間に最初の4つの二等辺三角形を2つに割った小さな二等辺三角形の吹き抜けが対称に2箇所できる。ドバイ万博日本館の時も白銀比から二等辺三角形を台形の土地にはめていき、二等辺三角形の建物と二等辺三角形の水盤を設けた。この時から45度、90度の角度が生む空間の広がりに興味があったこともあり、まるで正方形の折り紙を折るように単純なジオメトリーによって平面を決めていった。単純な構成の中からどこまで豊かな固有の体験が生まれるかを確かめていくような設計プロセスとなった。
外から見るとコンクリートの箱が高台に乗っている。接道する地下に駐車場を設けた。高台への階段を登り、箱の脇に回り込んでいくと10mの一辺の真ん中に玄関がある。入るとまず初めに短い廊下の奥の三角形の庭の90度の角に対峙し、庭の緑が広がる。さらに進んでいくと右側に三角形吹き抜けのリビングスペース、左側に同じく三角形吹き抜けのダイニングスペースが広がる。リビング、ダイニングが庭を取り囲む格好だ。2階はコンパクトな個室が並ぶ。個室は主に眠る場所。個室が面した廊下には吹き抜けと庭に面して長い机があり、それぞれのデスクとして使えるようになっている。個室の外側には本棚が並び子供たちの教科書や家族の愛読書が並ぶ。
個室にいる以外は常に家族の気配を感じることができる。この家に入った瞬間から部屋を動き回る中でパースペクティブにシーンが広がる瞬間にいくつも出くわす。人の動きや視線が三角形をなぞり、家族が交差していく。ジオメトリーは単なる形を超えてアクションとしてこの家に満ちている。
対角のいえ
Architecture
- Title
- 対角のいえ
- Date
- 2019.11 - 2022.12
- For
- residential
- At
東京都
- Size
- 178.0㎡
- Status
- Completed
Staff
- Direction
- 永山祐子
花摘知祐 - Build
- 株式会社21世紀工務店
- Structural Design
- yAt構造設計事務所
- Planting Design
- 荻野景観設計株式会社
- MEP Design
- Y.M.O / 参創ハウテック
- Curtain
- 安東陽子デザイン
- Photo
- Nobutada Omote