積善館山荘に続く、このプロジェクトの第二弾として本館の改修を行った。これは時代の流れで使われなくなってしまった場所の復興であり、第三弾の改修を見越した構想である。
フロント
創業以来、形を少しずつ変え、たくさんの方を迎え入れてきた本館玄関口は、必要箇所の補修と、カウンター周りの造作や環境整備のみの計画に留めている。当初の空間が感じられるよう、不要なものやチグハグなものは撤去しつつ、トーンを合わせていくことを重視した。他の建物とも複雑に繋がっているため、積善館全体で土足でのオペレーションとなっているが、本館は群馬県指定の重要文化財であるため、古い床材を保護するために、本館全体で深い青のカーペットを敷くことにした。
元禄の湯前
元禄の湯は、元禄四年積善館の創業当時より残るお風呂で、特殊な凝った造りでこちらも文化財登録箇所である。入口の扉を1枚開けると浴場内部が一望できてしまうために、修繕のお抱え大工さんの手によって、庇や衝立等たくさんの造作が施されていたが、元々のデザインのみを残し、前室として、衝立と灯だけ改めて用意した。
休憩所
壱番館エントランスに湯上がり休憩所を計画した。本館に隣接したRC造の建物である壱番館は建物下を温泉の配管が通っていることで全体がほんのりと暖かい建物である。オンドルやサウナのように触れて心地よい曲面を多く用いて、庭園を望めるように部屋の奥にベンチを配置することで、好きな居場所を見つけて寛いでもらえるような空間とした。
桐の間
本館のイ宅1階の客室を改装した。この客室は本館玄関前のお庭に面しており赤い橋を眺めることができる。改修前は内風呂が無いお部屋であったため、新たに洗面室とシャワーブースを設置することで、長期滞在者も快適に過ごせるように計画している。庭に面する広縁には新たに書斎机を設け、赤い橋とお庭を眺めながらゆったりと過ごせる空間とした。
積善館 本館
Architecture
- Title
- 積善館 本館
- Date
- 2020.01 - 2021.04
- For
- commercial
- At
群馬県
- Size
- -
- Status
- Completed
- Website
- https://www.sekizenkan.co.jp/
Staff
- Direction
- 永山祐子
杉浦菜花(フロント,元禄の湯前)
井出美咲(休憩所)
横田英雄(桐の間) - Build
- 株式会社町田工業(フロント,元禄の湯前,桐の間)、 ジーク株式会社(休憩所)
- Structural Design
- 森部康司
- Planting Design
- 和想(外構含む)
- MEP Design
- 株式会社ヤマト
- Photo
- Nobutada Omote