アイウエアブランド JINSのロードサイド店舗の設計。ECサイトでの買い物が日常化しつつある時代に実店舗が持つ役割は、物を売る場所から体験を提供する場所へと変化している。このプロジェクトでは眼鏡の購入以外にも、この場所へ訪れる目的となるような滞在型の空間やコンテンツを提案し、地域と共生した新しいロードサイド店舗のプロトタイプを具現化することを目指した。
ロードサイド店舗の新たな価値
敷地は群馬県前橋市、利根川や敷島公園の程近くの国道沿い。緑に囲われた芝生の前庭の奥に赤城山の赤茶色と呼応する銅板葺の箱が浮いている。エントランスから入ると、三角形の大階段が斜め上へと視線を導き、その先に前橋の青い空が広がる。大階段は席になっており、高さのある視点から店内、そして外の庭を望むことができる。大階段先の屋上テラスは子どもが思う存分走り回れる広さに加え、腰掛けたり寝っ転がったりできる段々が囲む。心地よい季節には庭に面した 6 連のガラス引き戸が大きく開け放たれて店内が庭と一体化し、大階段の吹抜けを通って 屋上テラスへとそよ風を運ぶ。全ての場所がパノラマに広がる公園のように開かれた空間の中で、ピクニックをするように各々がお気に入りの場所を見つけて、過ごせるようにと考えている。 ここJINS PARK は、眼鏡だけでなく、美味しいパンやコーヒーを販売したり、地域住民が主催するマルシェやトークイベントを開催したりと、公園の広場のような場所になることを想定して計画された。それらのコンテンツは青空マーケットのように、連続的な体験として訪れる人に巡る楽しさを与えながら、その時々によって、それぞれの出店ボリュームを柔軟に変動できるようにする必要がある。それぞれのコンテンツに決められたゾーンを与えるのではなく、中心にコアを設け、その周りをざっくりと売場とすることで、様々な体験やイベントを許容するおおらかな空間を設計した。 また、国道沿いの店舗に多く見られる、前に駐車場、後ろに平屋の店舗という構成を変えたいと考えた。敷地を通り抜けて後ろに駐車場を配置し、前庭から屋上テラスまでを立体的に構成することで新しい空間体験を生み出している。
JINS PARK 前橋
Architecture
- Title
- JINS PARK 前橋
- Date
- 2018.10 - 2021.04
- For
- commercial
- At
群馬県
- Size
- 499.33㎡
- Status
- Completed
Staff
- Direction
- 永山祐子
小森陽子
池上里佳子 - Build
- 冬木工業/スペース
- Structural Design
- 金箱構造設計事務所
- Lighting Plan
- 岡安泉照明設計事務所(アドバイス)
- Planting Design
- SOLSO
- Graphic / Sign Design
- 高い山
- MEP Design
- ピロティ
- 3D archive
- ARCHI HATCH
- Photo
- 阿野太一 + 楠瀬友将