太平洋を望む沿岸沿いの崖に建つ小さな木造の茶室である。崖は険しく、自由な向きに建物を据える事ができない。現地に行っては建築が可能な敷地範囲を検討し、建物をどの向きに据えると何が見えるのか確認をしながら配置を決めた。  崖の上からは広大に広がる海と海辺の見事な岸壁が見える。自然公園の中なので人工物がほとんどみえない。圧倒的な自然と小さな4畳半のスケールには隔たりがある。かけ離れた場所の美しい情景を屏風絵のようにこの小さな茶室に取り込む事を考えた。  建物形状はメガホン状で、海中をのぞく道具の箱メガネのような形状である。34mm厚の木材を組み合わせた四角いフレームがルーバー状に均等間隔になるように室内から室外まで連続的に並ぶ。フレームには室内部分にあたる箇所のみ外側に合板が貼られる。合板は所々に小さな窓が開いている。この箱を崖の岩場に建つ4本の脚が支えている。  黒く塗られたフレーム1.8mの間口から露台へと、だんだんと海に向って開くように立ち並び、先端で2.7m角の四角いフレームが海と岩壁の情景を切り取っている。