始まりは今回プロデュースをしている株式会社スペース岡島氏から「従来のSCを超えた新しいSCの提案をして欲しい」との依頼からだった。今まで建築家がSCのような商業施設に携わる事例はあまり見たことがなかったけれど、かねてから、特に地方都市においては建築家が携わることの多い公共建築よりも、地域の生活インフラであり、リアルな公共性を持っているのはSCのような商業施設ではないかと思っていた。ただ、その空間は箱形で閉じた建築が多く、人が時間を過ごす場所として魅力的な場所になりきっていない場合が多い。 “モノ”が売れないと言われる時代、その場所での体験 “事”そのものに魅力がないとこれからは人が集まらないという現状の中で、新しいSCのあり方を考えることは、とても意義があると感じた。
 大和高田の駅前にあった歴史あるSCの建て替えである。プロジェクトに対し日本エスコン伊藤社長から最初に「地域に愛されるSCを」という強い要望があった。駅前の好立地であり、駅から出てこの街に降り立った瞬間に見えてくる風景がこのSCのファサードという状況。この風景はこの地域に暮らす人々の心象風景となる。そうなった時、どんな風景がいいだろう。そして、そこはどんな体験を生み出す場所がいいだろう。「立体公園」をコンセプトとした。公園のようにはっきりした目的がなくても立ち寄れる場所。誰に対しても開かれた場所。様々な街のイベントが起こるような場所を目指した。当初、全体をアウトモール的な分棟形式としていた。しかし、地域に高齢者の多い中、利便性も考え、アウトモール的インモール形式とした。内部にはトップライトから光が降り注ぐアトリウムや、各所にトップライトを設け、内部共有部を自然光が降り注ぐ外部空間から連続した外部的空間とした。また、気をつけたのは各区画エリアのスケールである。敷地周辺はマンションが建ち並ぶ開発エリアと、昔のままの小さな建物の並ぶ商店街エリアの異なる街並エリアが隣接している。区画の大きさを駅前から奥に向けて次第に大きくなるように配置し、二つのエリアを緩やかに繋いだ。駅から見た時に段々畑のように公園のようなテラスが見える。その奥にヒューマンスケールに分割されたお店のヴォリュームが配置されている。立体公園での人々のアクティビティそのものがこの建物のファサードとなり、この町の風景となっていくことを願っている。