「窓」は、建築と街との関係を作る大切な要素の1つである。日中の街を歩きながら窓を見ると、外に比べて中が暗く、ガラスの反射が強いために、内側が暗く閉ざされているように見える。外から見た時に、より親密さを感じるような窓の在り方はないだろうか。学生時代に訪れたロンドンで不思議な体験をした。ある通りを歩いていると、妙に明るい窓があった。建物の窓から通りに光が差し込んでいる。窓から中を覗くとそこは空き地だった。よく見ると、道に面した外壁だけが残され、建物自体は解体されていた。道の両側の外壁の間に鉄骨を通して残された外壁を自立させていた。沿道の風景を残すための苦肉の策。街並みを大切にしている証だ。この内外の逆転、外壁が道のインテリアであるとも言えるのだ。この体験から沿道に対して”明るい窓”を考えることにした。このプロジェクトは、代官山の商業エリアから住宅エリアに変わるちょうど境に立つ商業テナントビルである。閑静な通りに対して住宅とも見えるような等間隔に並ぶ"明るい窓"のファサードとした。敷地形状から建物の奥行きがそれほど深くないので、建物の背面をガラス張りにすることで背面の街並みや空が道路側の窓越しに見え、南側の光が建物を介して通りに漏れてくる。等間隔に並ぶ窓それぞれに中の情景が見えてくる。構造的(S造)に北側の道路面と南側の背面で在り方が分かれている。道路側は壁面量を多くし、建物にかかるほとんどの力を負担させている、背面側は垂直荷重だけを負担する細い柱を使用し開放的だ。 「明るい窓」、窓の在り方を考えるだけで街並みは少しずつ変わっていく。