1969 年創業のアンリシャルパンティエ神戸芦屋本店の改装である。創業 の きっかけとなったお菓子「クレープシュゼット」。目の前でオレンジ果 汁で軽 く煮たクレープをグランマニエでフランベするお菓子である。当時 は高級レ ストランのデザートでしかお目にかからないお菓子であった。創 業者の蟻田 氏はこの驚きと温もりを与えてくれるお菓子をたくさんの人に 味わって欲し いという思いからお店を創業した。その創業の思いを大切に するお店にした いというのが施主の要望であった。 店内で「クレープシュ ゼット」をフランベする時の魅力的な青い炎はお店の 重要な要素であった。 炎を目立たせる為に店内の色調を暗くし、落ち着いたサ ロンのような雰囲気を目指した。立地が3面に開いている為、3方向から店内 がよく見える。 まるでお店自体がショーケースのようである。 店内は床、壁、天井、全て の面を5種の樹種の寄木とした。寄木の木の色合 いはクッキーやチョコ レート、スポンジなどのお菓子の色調である。お菓子 のフォルムや装飾パ ターンはデフォルメされた単純明快な形をしている。そ こで壁のパターン、 家具の脚などを単純な幾何学の装飾的形態とした。前面道 路の正面から見 た時、シンメトリーに配置されたショーケースとその背面の 寄木のR 壁 が印象的に見えてくる。ショーケース周りを取り囲むよう、窓際 にカフェ スペースが並ぶ。お店の周囲には様々な植物が植えられ、店内と道 との間 に緑のレイヤーが入ることで程よい距離感が生まれている。外からお 店で 買い物をする人、お菓子を楽しむ人の姿が見え、芦屋の街に新しい賑わ い を与えている。