五穀と発酵を使った和の知恵菓子がテーマの和菓子屋である。販売のみならず、お菓子が造られていく過程を実演し、食す事もできる空間が求められた。与えられた区画は2つの中庭に挟まれた湾曲した形状の空間であった。施主から京都の路地に入り込んだような感覚のお店を、という要望があった。そこで湾曲した空間に合わせて2列の格子棚を配置した。湾曲している為、棚の間の路地は入口から出口まで見通せず、歩く毎に両側に格子越しに様々な景色が展開する。約1000個の格子棚はある場所では実演が見える窓となり、商品や小物が並べられる棚となり、庭が見える小窓となり、お茶屋の椅子となる。厚みが場所によって変化し、その場にふさわしい役割を担う。お店から見えるメインのお庭は造園家の荻野寿也氏にお願いした。五穀のテーマから5つの鉢を造り、生け花のように季節ごとの樹木草花を寄せ植えした。店内、庭とも三和土仕上げとし、鉢の一部を店内に貫入させ、室内と庭を連続させた。歩く動きに合わせ、格子越しに5つの庭が多様に変化しながら見えてくる。