京都の中心地、中京区の歴史ある街路に位置し、敷地内の古い既存蔵と中庭を望む和食レストランである。蔵の外装仕上げでもある白い漆喰壁を極限まで薄くし、庭の風景、店内のそれぞれのシーンをシャープに切り取るフレームとして構成していった。この壁は天井からカーテンのように吊られている。天井から吊るす事により8mmの漆喰壁が実現した。軽量化の為、構造上必要のない箇所をパンチング加工した鉄板4.5mmの上に漆喰が塗られている。漆喰の白は光を吸い込み、8mmの壁は紙のような軽やかさを持つ。  席の間仕切りとして吊るされたステンレスメッシュはこの場に適した透過率を考え部材の太さ、目の細かさなどを決定した。中央の大テーブルは真鍮の粉を練りこんだ特殊塗装により蝋燭の光のような鈍い光を放つ。朝の時間帯には朝食ビュッフェが並べられる。中央の照明はビュッフェに並ぶ人と向かい側に座る人の視線が合わない高さに設定されている。 既存蔵は黒漆喰で仕上げ、天井から64個のシーリングライトを吊るした。その光が黒く反射するテーブルの上に映りこむ。シーリングライト上の屋根裏空間には漆黒の闇がひろがる。それぞれの素材の持つ質感、光の反射を活かし、シンプルな構成ながら清々とした空間を目指した。外部からの光により時間帯によって空間の感じ方が様々に変化する。