2013年の瀬戸内国際芸術祭、夏会期に会館した瀬戸内海豊島の港町家浦の集落の中にある横尾忠則氏の美術館。古民家3棟のリノベーションと一部増築から成る。非日常空間と日常空間が隣りあう特徴的な敷地であった。この美術館で目指したのは建築と作品が一体となった空間。建築という3次元表現を絵画的な2次元表現に近づける事を考えた。色彩情報を消す赤ガラス、明度をコントロールする黒ガラス、反射面としての効果を持つガラスなど様々なスクリーンによって空間の中に2次元的シーンが生まれる。赤ガラスは美術館のテーマである“生と死”、 隣り合う“日常と非日常”の境界としてある。片方の世界からもう一方の世界を見た時、風景はモノクロに展開する。横尾作品である庭の赤い石も消える。横尾作品のコラージュのように、作品とスクリーンによって生まれたシーンが3次元空間の中で一体となっている。シーンは人の動き、太陽の光の状態で刻一刻と変化する。一度として同じシーンの組み合わせはない。「生と死」は横尾忠則作品の根底にあるテーマであり、私たちの日常の中に流れる共通のテーマでもある。常に変化し、循環し続けるシーンの集合体として豊島横尾館を考えた。